Thang Nguan Hah Heritage House

唐源合 เก๋งจีนทั่งง่วนฮะ

Bangkok, Thailand バンコク、タイ

”現代に残る閩南の三合院を、この目に焼き付ける”

バンコクに残り僅かな、中国の伝統的なコの字の住居の真ん中に庭を造る三合院様式の建築である。母屋はバルコニーの付いた2階建てで、向かって左側に階段がある。両翼の部分は部屋のように壁に囲われておらず、休憩所のような吹きさらしになっている。外から見ると、風水に合わせてデザインされる閩南地方の「馬背」と呼ばれる、高く突き出た切妻がよく目立つ。台湾で見られる閩南式の屋根ほどではないが、母屋と門の屋根の背はわずかに湾曲しているのも目をこらすと見て取れる。隣り合って建つチャオプラヤー川岸側の木造建築と共に、潮州系中国人の移民でタイへ定住した唐一家の所有で、かつてここには氏が興した魚醤(ナンプラー)の工場があった。現在は、木造家屋の1階をカフェとしてMy Grandparent's Houseの名で開放している。こちらの三合院の方はThang Nguan Hah Heritage Houseとの看板は出しているものの、開放をする予定は未定のこと。今回訪問と撮影ができたのはご家族のご厚意のみで、有難いことであった。随分前に訪れた時は門は土のような色をして少し崩れかけたような印象であったのだが、今は白く塗り直しされている。おそらくその時には既に建物自体の修復は完了していたはずであるが、タイ歴史建築の宿命ともいうべきか、この三合院も現在の姿に修復される前は崩壊寸前のような状態とまでなっていた。はっきりとしていないが1820年前後に造られており、既に200年ほどの年月が経っていると見られている。唐家当代の祖父は1917年に中国の潮州からタイのアユタヤへ移り住んだのだが、その後現在のバンコクのトンブリー地区にあるタラートプルー市場で魚醬の発酵工場を始めた。市場からチャオプラヤー川を使った運搬の便宜を考え、やがてこの三合院の1階に工場を移した。沢山の労働者も住んでいたという。当時はまだ中国への帰国も考えており賃貸し続けていたが、そのうちにタイへの定住を考え、1950年に買取をし現在に至る。今は工場は移転し、ナンプラーを製造していた時代の面影はもう無いのだが、美しく貴重な歴史建築の住居を現代まで維持してきた唐一家には頭が下がる思いである。


中国語で「加冠進禄」。

美しいバランスの三合院建築。

隣の関羽廟を訪れる参拝者の車で
駐車場はいつも一杯である。

屋根の修復の跡が見える。

閩南式建築の馬背と呼ばれるデザインの突き出た切妻。

通気口は卍模様の彫り物。


幸運なことに、ひょんなことから
中の撮影の許可を貰えた!



感激!格好いい。
10分間程であったが、貴重な体験であった。

My Grandparent's Houseの店内にも飾られていた
当代の祖父に当たる唐氏の写真。

バルコニーを見上げる。扉は修復中?

左に階段。

左側。隣の欄干と比べると屋根が斜めに曲がっている。
中央が凹んで湾曲しているのでもない。


向かって右側。
こちらも屋根が曲がっている。

Lhong 1919の回廊にも雰囲気が似ている。
個人的に好きな絵だ。