Earsae

益生老店 เอี๊ยะแซ เยาวราช

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”煤けた店内で潮州語のお喋りを聴く日”

客の平均年齢は限りなく70歳に近い60歳台、であることは間違いないと思う。看板には「Since 1927」とある。中華街周辺のお爺さん達を集める、煤けた魑魅魍魎の老舗コーヒーショップだ。間口はショップハウスにありがちな狭くて奥が深い感じではなく、2軒分のユニットをぶちぬいているので、歩道に沿って椅子とテーブルがガタガタと広く適当に並んでいる。一番歩道に面した前の列は常連客で常に埋まっていて、大声で話をしている。タイ語でなく、もう最近はあまり聞かれなくなってきたヒア、キア、ボー、みたいな独特な響きの潮州語も聞こえてくる。奥の席は空いているけれどなんだか空気が澱んでいる。昔は怖くて入れなかったが、今はそうでもなくなったのは自身がそういう年齢になったのだと思う。若い中国系のおそらくシンガポールや香港、台湾辺りからの観光客は、何の躊躇も無く入り込んでいるので中国人の世界は日本人にはよく分からないところで繋がっているのだなあと想いをはせる。この近辺にもう1軒、同じコンセプトで双璧をなす「益生甫記」というここもまた入りにくい老舗があったのだが、昨今の移民時代を懐かしむ中国趣味のカフェブームと映える写真ブームに乗っかり、突然お洒落な(?)カフェに変貌してしまった。ここもいつか変わってしまうのかな、とつい考えてしまう。


立派な看板。中国語で「益生老店」。潮州系。




壁の色分けがいい感じ。


カヤトーストとコーヒー。「益生老店」名入りのカップが可愛い。

昔のバンコクのショップハウスを描いた2枚目の絵。この頃のバンコクを旅行できたらなあ。

店舗の奥のドア、その先に何があるのかは知らない。穴の開いた天井と看板。

オレンジ色の店舗は通りからも目立つ。1927年創業。