シープラヤ通りはバンコクの真ん中にあるのに随分静かな、一昔前の雰囲気が今も残っている。古びた小さな自家製パン屋さんはこの通りの起点となるサムヤーン地区の近くにあり、付近は最近更に開発が進んで賑やかになってきたが、お店の周囲は今でも静かな佇まいだ。通りには椅子がでて、大きなオーブンにパンが載っているのですぐに分かる。狭い店内は中に入るとどこもかしこもパンだらけだ。いくつかのテーブルと椅子があり、焼いたパンを頼んでその場で食べる事ができる。タイ人はバター、とひとまとめに呼んでいるようだが、砂糖とバターではなくマーガリンをこれでもかと挟んだパンをオーブンでカリっと焼き、大きな包丁とまな板でダンダンとぶつ切りにする。パンと呼べる形はもうしていないのだが、それにコンデンスミルクをかけ甘いコーヒーと食べるのがここの流儀だ。個人的にはコンデンスミルクはいらず、「砂糖とバター」とだけ頼めば、下の画像で出てくる状態なのでこれだけでも古いスタイルのタイのパンの食べ方としては十分おいしく感じられると思う。今の時代では万人に勧める食べ方ではないけれど、ノスタルジーだけではない旨さもきちんとあるものだ。