So Heng Tai Mansion

蘇恒泰宅邸 บ้านโซวเฮงไถ่

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”この地で数少ない、閩南式四合院建築の邸宅を見る”

バンコクに残された裕福な福建商人蘇家の邸宅で、現在はカフェとして一般に開放されている。四合院と呼ばれる口の字型で造られた家屋が中庭を囲んでいる中国の伝統建築様式で造られており、それに似た三合院と呼ばれるコの字型の様式も含めバンコクでは見ることが難しい貴重な遺産だ。釘は使わず、くさびを打って造られており、正確に調べはつかないだろうが現時点で230年は経過しているそうである。公開は無料なので維持するのも大変だろうと思う。構造そのものはタイの移民とあまり関係のない中国北方にもあるものだが、この邸宅のデザインは初代の福建系中国人のアイデンティティを固辞したのか、優雅に湾曲し背の突き出た屋根や馬背と呼ばれる切妻の側壁が閩南式建築の特徴を持ち合わせている。湾曲については本来「燕尾脊」と呼ばれ、突き出た先端がより湾曲して鋭角に分かれているのだが、ここの屋根はそれ程は典型的な意匠ではないようだ。この邸宅のあるTalat Noiと呼ばれる地区は比較的福建系が多いようではあるが、元々福建系はバンコクではマイノリティであまり建築や言語などの文化が残っておらず、知る限り一番残りそうな食文化すらもほとんど感じられない。このようなわずかな痕跡であっても、台湾やアジア各地に残された共通の閩南式の移民文化の広がりには思いをはせてしまう。室内は庭へ突き出ている階段を2階へ上がり、靴を脱ぎ母屋と両翼の2階を訪問できる。カフェにもなっているので、注文しなくても庭も内部も無料で見学はできるが、せっかくなのでゆっくりしていくのがよいと思う。中庭のプールは後付けされたもので、歴史的価値はないのだが、ありがちなミスマッチではなく個人的には伝統的四合院の中庭がプールというのは面白い。

中央に直進する魔物を除ける鏡、両端には龍かと思ったが花であった。
屋根の装飾はすべて花と葉のデザイン。

門の外側から。

中国語で「泰来 恒遠」。

閩南式建築の特徴である、馬背と呼ばれる側壁のデザイン。
風水を基に形を造り、これは五行のうちの「金」型と見る。顔は魔除けか。


門へ向かって全体を見る。


門から正面を見る。


2階両翼がカフェになっている。

プール越しに門を見る。
奥の青いビル、Banyan Treeとの間にはチャオプラヤー川が流れる。




2階中央部分の廊下。


廊下を区切る扉と草花文様の彫り物。