พิพิธภัณฑ์ห้างขายยาเบอร์ลิน
Bangkok, Thailand バンコク、タイ
”父の祖国で学び、タイへ戻った医師の軌跡”
1932年、バンコク中華街のスアパー交差点のショップハウスにBerlin Despensaryと呼ばれるクリニックが開業した。このクリニックを創設した医師、Dr. Chai Chainuvatiは中国の広州からタイ中部のプラーチーンブリーへ移民した客家系の父を持ち、若くして父の祖国中国の上海へ留学する。上海のドイツ人医師によって創設された同済德文医学堂、のちの同済大学でドイツからの近代西洋医学を学び、学位を得てタイへ帰国した。「Berlin」の名は教師のドイツ人へのオマージュである。そしてそのクリニックで貧しい人々をも献身的に診療しながらやがて薬局の設立へと事業を発展させていき、その後薬局はタイ大手製薬会社であるBerlin Pharmaceutical Industryとなった。現在は製薬業はバンコク郊外の工場に移っているが、原点となったこのショップハウスで今でも一部の業務は引き続き行われている。1階の博物館はDr. Chaiの偉業を記念し作られ、混乱の時代の父の移民とタイでの生い立ちからの軌跡、当時のクリニックやタイの西洋医学の歴史についての紹介や当時の医療機器や薬を調合する道具なども展示されている。このクリニックができる前に既にあったショップハウスは、元々はラーマ7世の王妃の所有であった。バルコニーの欄干が特徴的なコロニアル調の建築で、今も昔も黄色い色のままという。建物は一見すると3階建てであるがよく見るとその上に更に屋根があり、最上階が増築されていて4階建てとなっている。現在の姿とほとんど変化のないショップハウスが建つ交差点に人力車が走る当時の古い写真も展示されている。