Lamthong Salt Factory

金國鹽業兩合公司 โรงเกลือแหลมทอง

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”河岸に取り残された、塩の結晶の宿る工場跡”

Somdet Chao Phraya通りから細い路地をぐねぐねと曲がりながら、もうこれ以上車が走れる道はないという川岸迫る場所にその製塩工場跡はあった。年季の入った木造2階建ての住居と屋根の高い平屋の工場が隣り合っている。付近はここでも幾つか紹介しているが、今はもう廃れてしまった米や魚醤の倉庫や工場など多くあった地域で、それらと同じように生活必需品であった塩の製造がここで行われていたことは、チャオプラヤー川が交易に使われていた時代を感じる。工場の端は川岸ぎりぎりに建っている。サムットソンクラーム県とサムットサーコーン県の海辺の塩田から川を遡って、船で運ばれて来た粗い塩を運び込んでいた。そしてこの工場で塩を洗い砕き精製をしていた。訪ねたときに工場にいた中国系の老人は、ここはもう製塩業を営んではいないよと、そう答えた。会社の看板は今も壁に貼りついていて、工場の中も製塩を止めてからも塩のこびりついた設備はそのまま残っている。アートフェスティバルの会場としてインスタレーションを披露したアーティストもいた。路地を挟んだ目の前はレンガが崩れた倉庫の跡のようだし、その先の空き地の向こうは壁一枚残して崩れてしまった倉庫の跡がある。まだこの工場跡には人がいるので、付近の荒廃してしまった遺構に比べればこれからも長く息ができるとは思うのだが。

路地から住居側を見る。

2階へ上がる階段。静か。

中国語で「金國鹽業兩合公司」。
「鹽」とは「塩」のこと。

1階も2階も木の扉が続く。




2階を見上げる。
 扉の上の格子の壁は、この近辺で今でもよく見かける。


左の住居と右の製塩工場との境目。

工場側。

ここが内側の境目。

貯蔵庫だろうか、塩の結晶で覆われている。