Patina Bangkok

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”いい壁だ。と独り言つ”

おそらく築200年ほど、ラーマ1世が統治していた時代頃に造られた中国式のショップハウスで、元はบ้านรัชต์บริรักษ์(バーンラットボリラック)と呼ばれており、持ち主は現代まで維持はしてきたものの長らく荒廃した状態であった。その後にบ้านเหลียวแล(バーンリウレー)、意味は英語のReal Rareから、と改名されBangkok Design Weekの展示会場に使われて一時的に開放されてはいたが、修復されカフェへと生まれ変わった。「Patina」は経年による色の変化や銅の緑青の意。色あせ、剥げた壁の色を表しているのだろう。表通りに面したバルコニーのある2階建てのショップハウスは、切妻屋根に閩南式建築の特徴の馬背という上に突き出た風水の飾りがついている。奥行は深く、横道に沿って壁が続くのだが、通りがゆるいカーブになっているのでそれに沿って壁が湾曲している。敷地内へは以前は湾曲した先に庭への扉があり入ることができたが、現在は閉ざされているようだ。改装された店舗はこのショップハウスの母屋の1階部分で、厨房のある室内のカフェになっている。そこを出ると2階へ上がる階段があり、天井が四角形に切り取られて吹き抜けになった中庭になっている。その先は中国式庭園にあるような円形の門と井戸のある庭、さらに奥には朽ちかけた2階建ての独立した別棟と、いろいろな要素、壁の剥がれ具合とフォトジェニックな要素が延々と続く。最近はいい壁を持つ古いショップハウスを過度な中国趣味やペイント、現代風に澱みなくスタイリッシュに改造してしまう店が多いので、ここのオーナーの匙加減は絶妙な腕である思う。個人的にはもっと手をかけなくてもよいのだが。

庭の井戸。母屋のショップハウスと離れの建物の間になる。

丸い門。門の向こうは小さな部屋があって、吹き抜けの中庭がある。

用途不明の離れの建物。


門のある小部屋。

天井が一部吹き抜けになった明るい中庭。




中庭から小部屋、門、庭、離れを見る。


吹き抜け。


店内。

厨房の上部。

ファサード部分、2階バルコニーの下。
格子の門の外側が通りに面している。

中国語で「興隆」。

湾曲している壁。

歴史を感じる閩南式建築のショップハウス。