Bangkok 1899

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”教育者の思いは今も続く”

ナコーンサワン通りに面して建つ、タイに居住していたイタリア人建築家マリオ・タマーニョ設計の西洋建築。名の通り、1899年に建てられた。元はบ้านเจ้าพระยาธรรมศักดิ์มนตรี(Ban Chao Phraya Thammasakmontri)と呼ばれていた。所有者であった称号Chao Phraya Thammasakmontri、Sanan Thephasadin Na Ayutthayaは貴族の官僚で、「タイの近代教育の父」として高名なタイの教育者であった。現在はCreative Migrationという芸術の文化交流組織によるプロジェクトにより「Bangkok 1899」と名付けられており、それに沿った。展示やワークショップ、インスタレーションのためのオープンスペースと、「Na Cafe at Bangkok 1899」と呼ばれるカフェで構成された複合施設、アートの発信ハブとして運用されている。ナコーンサワン通りから見るとファサード部分だけ3階に建て増しされたような2階建ての長方形の建物のようだが、裏でコの字状に回り込んでいた。ファサードから奥行が深く続くポルティコが特徴であるが、突き当り正面に玄関は無く奥の部屋はオープンスペースに使われている。カフェの玄関は突き当りを右に曲がった更に奥になる。全体にすっきりした端正なデザインに見えたが、装飾は細かく、1階のアーチにはキーストーン風のスタッコの飾りが、窓の上にも通気口にも飾りがついている。2階の軒だけは3面に3個の持ち送りが、通り側の張り出した床には半円形の飾りの付いた大きな持ち送りがついていたりもして、よく見ると凝った細工をしているのがわかる。カフェ内部も、外装と同じ白、濃い緑、木目の濃い茶のみを色味に使っていてクラシカルな雰囲気だ。撮影時は誰もいなかったのがしばらくすると車が何台もやってきて、混雑していた。皆はカフェにコーヒーを飲みに来るより、食事が目的で来ているようであった。カフェには外へのドアがあり、裏庭側はオープンカフェのようにもなっている。

中庭側から。

軒の右側に3個の持ち送りが見える。
窓に合わせた緑色。


張り出した床を支える持ち送りが付いている。

窓の上の通気口もスタッコでデザインされている。


形が分かりにくいのだが、表からみると長方形に見えても
裏は回り込んでコの字のようになっている。

アーチにはスタッコで造形した飾りがつく。

柱廊式玄関(ポルティコ)。
入口まで導くアーケードであるが、入り口はずっと先だった。

床も天井もいい感じ。この手前で靴を脱ぐのか迷ってしまった。
勿論脱がなくてよい。


オープンスペース。


奥の扉を開けるとカフェだけれど、
カフェの入口自体は別にある。

カフェから厨房を覗く。

Chao Phraya Thammasakmontriの肖像画。