Neilson Hays Library

ห้องสมุดเนียลสัน เฮส์

Bangkok, Thailand バンコク、タイ

”木漏れ陽の中の図書館で、書の匂いを嗅いだ”

Surawong通りは下町の喧騒はなくとも、狭くて適当にショップハウスやオフィスが並ぶ少しごちゃごちゃした雰囲気の通りであるが、川へ向かって進んでいくと突然、緑の多い開けた庭園とイタリア風のドームが目に入ってくる。このNeilson Hays Libraryは在住の外国人へ向けた英文書専門の図書館で、2万冊の蔵書を誇る。設計はタイ在住であったイタリア人建築家のMario Tamagno。旧市街のショップハウス風なタイル張りの屋根、白い壁と緑の窓と扉のあるコロニアル調の平屋建てで、新古典主義の解釈で造られ1922年に完成した。図書館の名は、宣教師として来タイし、1869年創設のバンコク女性図書館協会運営メンバーとなったデンマーク人Jennie Neilson Hays女史の名から付けられた。タイ王立海軍病院のThomas Heyward Hays博士と結婚し、やがて病で亡くなってしまうのであるが、夫である博士は哀悼のため土地を寄付してこの新しい図書館の建造を依頼したという逸話がある。建物は通りに沿って上から見るととHの字形で建っており、窪みにドームのある円形の部屋がある。大きく「Neilson Hays Library」と名の書かれたドームは通りからもよく目立ち、円形の壁は渦巻の飾りのついたイオニア式の柱頭の付け柱で分割されている。元々はここが正式なエントランスで、通りからすぐに入ることのできる状態の位置に扉がついているのだが、現在は歩道と敷地は柵で遮られており、来客は東側にある玄関ドアから入ることになっている。樹木に遮られて全体は見えにくいがこの本来のファサードは対称のデザインで造られている。内部は大きく「H」の字の辺ごとに、大きく3部屋と付随する円形のドームに区切られている。玄関前で靴を脱ぎ中へ入ると、最初に貸し出しカウンターのある部屋、そこから門の様な1個目のアーチをくぐると長いテーブルがある真ん中の部屋。2個目のアーチをくぐると、奥の部屋へと続く。真ん中の部屋の横にはドーム内への入り口がある。ここが前述の元エントランスだが、現在は展示に使用したりするようだ。3部屋とも図書室で全てに書架があり、大きなアーチと、扉のない門のような仕切りと書架と柱を兼ねたような構造物で部屋を区切っている。門の上はSanta Cruz Churchの外壁の装飾でも使われていた綱状の花輪(ガーランド)模様で飾られている。室内のアーチを支える柱は外壁の付け柱とは違い、柱頭にアカンサスの植物文様が入ったコリント式である。建物全体は寄棟屋根で外からはそのように見えないのだが、内部の天井も実は緩やかなドーム状になっていて柔らかい曲線が淡い照明に映り非常に美しい。個人的にはMario Tamagnoの最高傑作であると思う。内部は撮影禁止であるが、特別に許可を頂けた。

庭の奥にコロニアル建築が佇む

右にドームが見える。

半円アーチの窓と通気口も美しいデザイン。


昔のエントランス。

表玄関から奥を望む。

図書室の一番奥の部屋。

1個目の書架兼、門をくぐって振り返る。
向こうは入口の司書カウンターと表玄関。

入口司書カウンター前から。



右端の木彫りの扉は外壁の通気口と同じデザイン。

真ん中の部屋にはテーブルがある。

図書室一番奥の部屋から表玄関側を望む。



カーブが美しい天井。

図書室横にあるドームの部屋、過去のメインエントランス。
亡き妻へ哀悼の意を込めて。

ドーム天井。