Siam Commercial Bank - Talat Noi Branch

ธนาคารไทยพาณิชย์ - สาขาตลาดน้อย

Bangkok, Thailand バンコク、タイ


”今も岸辺に佇むイタリア人建築家の造ったタイ最初の銀行”

1880年に入り、西欧列強の植民地を中心に事業を拡大していた香港上海銀行、チャータード銀行やインドシナ銀行などがタイへも進出を始めていた。国際貿易の知識をタイ国外で学んでいたJayanta Mongkol王子はタイとは異なった西洋の商習慣に対して新しい金融機関が必要と考え、1904年にサイアムコマーシャル銀行(以下SCB)の前身となる「บุคคลัภย์(ブッククラブ)」と呼ばれる機関を設立した。当初はヤワラートから王宮の方角にあるバーンモー地区で事務所を構えたのだが、その後ラーマ5世(チュラロンコン王)の許可により1907年に正式な銀行となり、1910年にこのTalat Noi地区に完成した事務所を移転した。SCBとしてもタイ国内としても初めての銀行店舗と言われる所以である。現在も驚いたことに、と言ってよいのか通常の銀行支店として営業をしており、メンテナンスもきちんとされており、美しい姿を保っている。ここから本当に入ってよいのか躊躇するような美しいエントランスの階段を上ると、Jayanta Mongkol王子の大きな肖像画が飾ってある。ドアをくぐるとカウンターや装飾などのインテリアも古い映画のシーンに出てきそうな趣ある造りのあるロビーなのだが、顧客は淡々と用事を済ませているのが不思議な印象だ。当時のタイはイタリア人建築家を多く受け入れていた時代で、多くの西洋建築が造られた。この銀行もイタリアのトリノ出身の建築家であるAnnibale Rigottiによって造られている。イオニア式の渦巻状の柱頭や建物上部のコーニスと呼ばれる縁取りの装飾、ピラスターと呼ばれる壁から突出した飾りの柱、鋭角の石造りを模倣した壁など全体に秩序と対称性があるが派手な印象の古典的なボザール様式のデザインを取り入れている。余談ではあるが、前述のブッククラブは今でもまだ花市場付近の2階建てショップハウスに跡が残っている。現在は商店になっていて跡地を知らせる看板は飾られているが、こちらも市場に訪れる買い物客は現在のSCBの出発点だとは知る由もないのではないだろうか。

川から見える方が表側。

チャオプラヤー川沿いの敷地の中に少し奥まって建つ。
川岸から銀行の間は公園のような緑地になっている。

左右対称のデザイン。


柱頭に渦巻状の装飾のある、イオニア式の柱の列。

行内へのエントランス。
今でも銀行に用事があればここから入る。

直線的なコーニスの装飾は水平を意識させられる。

川や船から見ると裏になる駐車場側。
現代は陸地側の道から来るのでこちらの面が先に目に入る。

奥側。


これは営業区域ではない側壁の扉にある階段。




これは正面エントランスから
銀行内への入口。階段を上る。

「タイ銀行の父」Jayanta Mongkol王子の肖像画。

小さなホールを抜けると銀行の店内。

顧客も業務員もいるのでカウンターの上部のみ。