The Old Customs House

โรงภาษีร้อยชักสาม

Bangkok, Thailand バンコク、タイ

”荒廃してさえも美しきもの”

チャオプラヤー川に面して建ち、行き来する船からよく見えるためにバンコクの歴史建築の中では一際目立った知名度であると思う。建物は本館中央開口部の頂部の切妻、3角形のペディメントがよく目立つパッラーディオ主義の建築様式で造られた。ペディメントには大きな時計がはめ込まれている。川に向かって平行に建てられた3階建て本館と対して川からは垂直の東西方向に建てられた2階建て2棟の分館からなる。本館とウイング状に分館を配したバランスや規則的な窓の配置もパッラーディオ主義からであろう。設計はイタリア人建築家のJoachim Grassiで、1888年に完成した。当時のタイは西洋建築の技術を導入し始めており、彼はその先駆けであった。その後にMario TamagnoやAnnibale Rigottiなどの著名なイタリア人建築家が続くことになる。個人的には、ここより少し下流側に建てられた、The East Asiatic Company Buildingと同じように半円アーチの窓に欄干がついているのを見るとヴェネチアン・ルネサンス様式をも感じる。この税関が建てられた周囲の川沿いには貿易のためにいくつかの外国銀行が開かれており、またフランス、ポルトガル大使館は今でも居を構えている。正にタイの表玄関の地であったわけだ。しかしそれから時が経ち、1947年にチャオプラヤー川下流のKhlong Toei地区に新しい貿易港が造られたため1949年に税関も移転してしまった。その後は消防署の住居などに転用されたようであるが、最近までわずかに人の気配はしながら、ほぼ廃墟の状態で放置されていた。今後はホテルと商用施設に改装し転用されることになっている。


ペディメントの時計を見上げる。
頂部にライオンの像。

本館の右側。奥に南側の分館が見える。

本館の北側。

窓に風鈴のような飾りがついている。
住人の気配がする。

本館の端と分館。その間に道がある。


天井は崩壊したまま。

本館と分館を繋ぐ橋。
崩壊寸前だがかろうじて、くっついている。


北側の分館のペディメント。



南側の分館の天井は、ほぼ無いらしいことがわかる。
半円の透かし彫りがよく見える。

南側分館の端、上の飾りは
通りから一番最初に目に入る場所なのでおそらく魔除け。