Bangkok Railway Station (Hua Lamphong Station)

สถานีกรุงเทพ

Bangkok, Thailand バンコク、タイ

”この街では、誰も本当の名前で呼ばない”

バンコクの西洋建築で最高の知名度を誇るのではないかと思える、イタリア人建築家Mario Tamagnoが設計した代表作のひとつでもあるルネッサンス・リヴァイヴァル様式の作品である。ファサードは弧を描く半円の屋根をきっちりと真横に走るバルコニーが水平を強調している。1916年完成し、荘厳なエントランスに、コンコースからプラットフォームの途中までをトレインシェッドと呼ばれる大きな鋼の屋根で覆うヨーロッパの行き止まりのターミナル駅にあるようなスタイルだ。鉄道路線の近代化を目指すタイ国鉄はやや離れたバンスー地区に拠点を移し近代的な巨大な新ターミナル駅を完成させた。だが移行はうまくいかないようで、結局のところ閉鎖や解体が噂されていたこのフアランポーン駅へは今でも列車は向かっていて沢山の人々が利用している。このまま使用を続けるのか、最終的に列車の発着がなくなりはするが解体は逃れて鉄道博物館にでもなるのか、今は駅舎の存続の過渡期にあるようだ。因みに、鉄道博物館は既にこの駅にあって、小さく目立たないが正面エントランスの左側から入ることができる。また、正面エントランスの少し奥右側に、ラーチャターニーホテル(โรงแรมราชธานี)という鉄道旅行者用の小さなホテルがあったのだが1962年に閉業し今は駅のオフィスとして使用されている。この駅の名は英語でバンコク駅、またはバンコクを表すタイ語であるกรุงเทพ=クルンテープ駅なのであるが、バンコクに住む人々はなぜか誰もそう呼ばない。「フアランポーン」と、元々は地名から来た愛称で呼ぶのだが、その地名自体も由来が諸説あってよくわからないという。個人的には花の名であるランポーン(ดอกลำโพง)の花の咲く地からという由来が好きなのであるが。駅構内は乗車券がなくともプラットフォームまで入ることができ、撮影も特に自由にできる。鉄道マニアが入れ替わり走る機関車などを撮っているのだが、線路を横切って自由に歩いている。残された日まで、となるのか。


タイ語で「สถานีรถไฟกรุงเทพ」=バンコク駅。

本来のエントランスはこちらであるが、閉鎖されている。
乗客は回り込んで横から入る。




こちらも対称で半円に水平を強調したデザイン。


コンコース側から外へ。


駅内側から、今は通行止めの車寄せ越しに外を見る。


コンコース2階から乗車券売り場とプラットフォームへの連絡口側を眺める。

水色と緑色のいい色合い。


コンコース右側の元ラーチャターニーホテルへの階段。
今はオフィスになっている。

屋根の終端はオレンジ色。

コンコースとプラットフォームの仕切りには色がない。

誰もいないプラットフォーム。